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火星の芝居

著 石川啄木

「俺は昨夜火星に行って来た」と友は火星の芝居を語る。

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原文の言語:日本語レベル:中級1,317 字 · ≈ 5 分出典:青空文库

冒頭

『何か面白い事はないか?』

『俺は昨夜火星に行って来た』

『そうかえ』

『真個に行って来たよ』

『面白いものでもあったか?』

『芝居を見たんだ』

『そうか。日本なら「冥途の飛脚」だが、火星じゃ「天上の飛脚」でも演るんだろう?』

『そんなケチなもんじゃない。第一劇場からして違うよ』

『一里四方もあるのか?』

『莫迦な事を言え。先ず青空を十里四方位の大さに截って、それを圧搾して石にするんだ。石よりも堅くて青くて透徹るよ』

『それが何だい?』…

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この本について

この文章は友人同士の会話で、昨夜火星に行ったという男が、青い壁を花道にし、巨大な烏帽子をかぶった俳優が演じる芝居の様子を語る。とりとめのない大ぼらごとのような軽快な語り口で、「夢だった」という一言で締めくくられる。

作者について

石川啄木(本名・石川一、1886年2月20日—1912年4月13日)は、短歌と「新体詩」「自由詩」の両方で知られた日本の詩人である。当初は『明星』派の自然主義詩人の仲間だったが、後に日本の詩人の「社会主義的」な一派に加わって自然主義を捨て、結核で死去した。

注釈の作り方

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