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袈裟と盛遠

著 芥川龍之介

月の夜、盛遠と袈裟がそれぞれの独白で殺意を語る。

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原文の言語:日本語レベル:上級3,289 字 · ≈ 13 分出典:青空文库

冒頭

上

夜、盛遠が築土の外で、月魄を眺めながら、落葉を踏んで物思いに耽っている。

その独白

「もう月の出だな。いつもは月が出るのを待ちかねる己も、今日ばかりは明くなるのがそら恐しい。今までの己が一夜の中に失われて、明日からは人殺になり果てるのだと思うと、こうしていても、体が震えて来る。この両の手が血で赤くなった時を想像して見るが好い。その時の己は、己自身にとって、どのくらい呪わしいものに見えるだろう。それも己の憎む相手を殺すのだったら、己は何もこんなに心苦しい思いをしなくてもすんだのだが、己は今夜、己の憎んでいない男を殺さなければならない。…

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この本について

この一節は月夜の盛遠の独白から始まり、憎んでもいない男を殺さねばならない自らの境遇と、袈裟への想いに欲望や未練が混ざっていたことを告白する。人物の内側に密着した自己検視のようで、懺悔と自己弁明の間を揺れ動く重く落ち着かない語り口が特徴。

作者について

芥川龍之介(1892年3月1日-1927年7月24日)は、澄江堂主人の号でも知られる大正期の日本の作家で、「日本短編小説の父」とされている。35歳でバルビタールの過量服用により自殺し、日本の主要な文学賞である芥川賞は彼の名前にちなんでいる。

注釈の作り方

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