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冬の蠅

著 梶井基次郎

温泉宿で、冬の蠅を眺める病中の私。

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原文の言語:日本語レベル:上級3,525 字 · ≈ 14 分出典:青空文库

冒頭

冬の蠅とは何か?

よぼよぼと歩いている蠅。指を近づけても逃げない蠅。そして飛べないのかと思っているとやはり飛ぶ蠅。彼らはいったいどこで夏頃の不逞さや憎々しいほどのすばしこさを失って来るのだろう。色は不鮮明に黝んで、翅体は萎縮している。汚い臓物で張り切っていた腹は紙撚のように痩せ細っている。そんな彼らがわれわれの気もつかないような夜具の上などを、いじけ衰えた姿で匍っているのである。

冬から早春にかけて、人は一度ならずそんな蠅を見たにちがいない。それが冬の蠅である。私はいま、この冬私の部屋に棲んでいた彼らから一篇の小説を書こうとしている。

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この本について

温泉宿で、冬の蠅を眺める病中の私。

作者について

梶井基次郎(1901年2月17日—1932年3月24日)は、詩的な短編小説で知られる昭和初期の日本の作家であり、代表作に『檸檬』『城のある町にて』『冬の日』『櫻の樹の下には』がある。その作品は川端康成や三島由紀夫ら同時代の作家に称賛され、今日では繊細な自己観察と描写力で高く評価されている。

注釈の作り方

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