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檸檬

著 梶井基次郎

不吉な塊に圧えつけられた私は、丸善に檸檬を一つ置いてくる。

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原文の言語:日本語レベル:中級3,556 字 · ≈ 14 分出典:青空文库

冒頭

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなかった。結果した肺尖カタルや神経衰弱がいけないのではない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いけないのはその不吉な塊だ。以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなった。蓄音器を聴かせてもらいにわざわざ出かけて行っても、最初の二三小節で不意に立ち上がってしまいたくなる。何かが私を居堪らずさせるのだ。それで始終私は街から街を浮浪し続けていた。…

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この本について

『檸檬』は梶井基次郎の短編小説で、彼の代表作である。得体の知れない憂鬱な心情や、ふと抱いたいたずらな感情を、色彩豊かな事物や心象と共に詩的に描いた作品で、「我」は洋書店の書棚の前に鮮やかなレモンを置き、爆弾を仕掛けたつもりで逃走する空想を抱く。豊かな色彩感覚で言葉にしにくい心の動きを具体的に描いている点が読まれる価値といえる。

作者について

梶井基次郎(1901年2月17日—1932年3月24日)は、詩的な短編小説で知られる昭和初期の日本の作家であり、代表作に『檸檬』『城のある町にて』『冬の日』『櫻の樹の下には』がある。その作品は川端康成や三島由紀夫ら同時代の作家に称賛され、今日では繊細な自己観察と描写力で高く評価されている。

紹介文は Wikipedia の記事をもとに AI で作成:檸檬 (小説) (CC BY-SA)

注釈の作り方

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