桜の実の熟する時
著 島崎藤村
捨吉は拾った桜の実に、若い日の幸福のしるしを想う。
- 原文:パブリックドメインの原作(冒頭部分)
- 逐語注釈と全文訳:英語・中国語、無料
- 語をタップして意味を確認、文を読み上げ、単語を保存
- スマホやパソコンのブラウザでそのまま読める
冒頭
思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いで見て、お伽話の情調を味った。
それを若い日の幸福のしるしという風に想像して見た。
これは自分の著作の中で、年若き読者に勧めて見たいと思うものの一つだ。私は浅草新片町にあった家の方でこれを起稿し、巴里ポオル・ロワイアル並木街の客舎へも持って行って書き、仏国中部リモオジュの客舎でも書き、その後帰国してこの稿を完成した。この書は私に取って長い旅の記念だ。
一
日蔭に成った坂に添うて、岸本捨吉は品川の停車場手前から高輪へ通う抜け道を上って行った。客を載せた一台の俥が坂の下の方から同じように上って来る気勢がした。石塊に触れる車輪の音をさせて。…
この本について
冒頭では青年・岸本捨吉が思わず桜の実を拾い、お伽話の情調を味わう場面から始まり、一年あまり避け続けてきた年上の婦人・繁子と坂道で思いがけず出会う場面へと進む。桑の木の陰に身を隠し、人力車の車輪の音を背後に聞く様子が静かに描かれ、青春の幸福と迷いが織り交ざった、内にこもった読み心地がする。
作者について
島崎藤村(1872年3月25日 – 1943年8月22日)は、本名・島崎春樹のペンネームで、明治・大正・昭和初期に活動した日本の作家である。ロマン主義の詩人として出発し、のちに日本自然主義の主要な提唱者の一人としての地位を確立し、徳川幕府の崩壊を描いた歴史小説『夜明け前』(1929–1935)が最も人気のある作品である。
注釈の作り方
逐語注釈と全文訳は AI モデル(DeepSeek、智譜 GLM)が文脈に合わせて生成し、すべての語に注釈があるか自動で確認しています。AI は誤ることがあります。問題は本のページから報告できます。
よくある質問
原文ですか?
はい。パブリックドメインの原作の冒頭部分を収録しています(青空文库)。
有料ですか?登録は必要?
書庫の本は登録なしで無料で読めます。他の注釈言語や自分の文章の取り込みには登録とクレジットが必要です。
どのレベル向け?
この本は「上級」です。すべての語に注釈があるので、語彙が少なくても読み進められます。
他の注釈言語は使えますか?
英語と中国語の注釈を用意しています。ログインすると他の言語版も生成できます。