牛鍋
著 森鷗外
ぐつぐつ煮える牛鍋を、男と女と子供が囲んで箸を争う。
- 原文:パブリックドメインの原作(冒頭部分)
- 逐語注釈と全文訳:英語・中国語、無料
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冒頭
鍋はぐつぐつ煮える。
牛肉の紅は男のすばしこい箸で反される。白くなった方が上になる。
斜に薄く切られた、ざくと云う名の葱は、白い処が段々に黄いろくなって、褐色の汁の中へ沈む。
箸のすばしこい男は、三十前後であろう。晴着らしい印半纏を着ている。傍に折鞄が置いてある。
酒を飲んでは肉を反す。肉を反しては酒を飲む。
酒を注いで遣る女がある。
男と同年位であろう。黒繻子の半衿の掛かった、縞の綿入に、余所行の前掛をしている。
女の目は断えず男の顔に注がれている。永遠に渇しているような目である。
目の渇は口の渇を忘れさせる。女は酒を飲まないのである。…
この本について
鍋がぐつぐつ煮えるなかで、すばしこい箸の男、ほとんど食べずに男を見つめ続ける女、肉を夾む機会を待つ娘という三人の動きを描く。短く刻むような文体で、箸の往復と視線のやり取りに焦点を当てており、静かで細やかな読み味がある。
作者について
森鷗外(1862年2月17日—1922年7月8日)は、本名を森林太郎といい、日本の陸軍軍医総監であり、翻訳家・小説家・詩人でもあり、作家森茉莉の父である。若くして医師免許を取得し、ドイツ文学の翻訳を日本に紹介し、代表作『雁』(1911—1913)により、日本文学の近代化を主導した作家の一人とされている。
注釈の作り方
逐語注釈と全文訳は AI モデル(DeepSeek、智譜 GLM)が文脈に合わせて生成し、すべての語に注釈があるか自動で確認しています。AI は誤ることがあります。問題は本のページから報告できます。
よくある質問
原文ですか?
はい。パブリックドメインの原作の冒頭部分を収録しています(青空文库)。
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どのレベル向け?
この本は「中級」です。すべての語に注釈があるので、語彙が少なくても読み進められます。
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