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安井夫人

著 森鷗外

不男だが学問に秀でた安井仲平に、美しいお佐代が嫁ぐ。

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原文の言語:日本語レベル:上級3,440 字 · ≈ 14 分出典:青空文库

冒頭

「仲平さんはえらくなりなさるだろう」という評判と同時に、「仲平さんは不男だ」という蔭言が、清武一郷に伝えられている。

仲平の父は日向国宮崎郡清武村に二段八畝ほどの宅地があって、そこに三棟の家を建てて住んでいる。財産としては、宅地を少し離れた所に田畑を持っていて、年来家で漢学を人の子弟に教えるかたわら、耕作をやめずにいたのである。しかし仲平の父は、三十八のとき江戸へ修行に出て、中一年おいて、四十のとき帰国してから、だんだん飫肥藩で任用せられるようになったので、今では田畑の大部分を小作人に作らせることにしている。…

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この本について

この文章は、学者・安井仲平の若い頃の経験を描く。天然痘の跡で容貌を気にされ、一人で歩くと村人に「猿」と呼ばれて嘲笑される。地味で抑制のある叙述の中に、傍らの悪口を通して人物の内なる痛みがにじみ出る。

作者について

森鷗外(1862年2月17日—1922年7月8日)は、本名を森林太郎といい、日本の陸軍軍医総監であり、翻訳家・小説家・詩人でもあり、作家森茉莉の父である。若くして医師免許を取得し、ドイツ文学の翻訳を日本に紹介し、代表作『雁』(1911—1913)により、日本文学の近代化を主導した作家の一人とされている。

注釈の作り方

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