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妙な話

著 芥川龍之介

友人の妻千枝子は、赤帽の男に不思議な形で出会い続ける。

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原文の言語:日本語レベル:中級3,574 字 · ≈ 14 分出典:青空文库

冒頭

ある冬の夜、私は旧友の村上と一しょに、銀座通りを歩いていた。

「この間千枝子から手紙が来たっけ。君にもよろしくと云う事だった。」

村上はふと思い出したように、今は佐世保に住んでいる妹の消息を話題にした。

「千枝子さんも健在だろうね。」

「ああ、この頃はずっと達者のようだ。あいつも東京にいる時分は、随分神経衰弱もひどかったのだが、――あの時分は君も知っているね。」

「知っている。が、神経衰弱だったかどうか、――」

「知らなかったかね。あの時分の千枝子と来た日には、まるで気違いも同様さ。泣くかと思うと笑っている。笑っているかと思うと、――妙な話をし出すのだ。」

「妙な話?」…

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この本について

この文章は、冬の夜に「私」が旧友の村上と交わす会話から始まり、村上が妹の千枝子のひどい神経衰弱に触れながら、彼女が赤い帽子の駕籠かきに度々出会ったという妙な話を語り始めるところを描く。夫からの手紙が途絶えたことや、雨の中でも鎌倉へ行こうとする千枝子の様子などが重ねられ、何気ない世間話の中からじわじわと不思議な話が立ち上がってくるような読み心地である。

作者について

芥川龍之介(1892年3月1日-1927年7月24日)は、澄江堂主人の号でも知られる大正期の日本の作家で、「日本短編小説の父」とされている。35歳でバルビタールの過量服用により自殺し、日本の主要な文学賞である芥川賞は彼の名前にちなんでいる。

注釈の作り方

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