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春の夜

著 芥川龍之介

看護婦のNさんから聞いた、ある家の話。

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原文の言語:日本語レベル:中級2,546 字 · ≈ 10 分出典:青空文库

冒頭

これは近頃Nさんと云う看護婦に聞いた話である。Nさんは中々利かぬ気らしい。いつも乾いた唇のかげに鋭い犬歯の見える人である。

僕は当時僕の弟の転地先の宿屋の二階に大腸加答児を起して横になっていた。下痢は一週間たってもとまる気色は無い。そこで元来は弟のためにそこに来ていたNさんに厄介をかけることになったのである。

ある五月雨のふり続いた午後、Nさんは雪平に粥を煮ながら、いかにも無造作にその話をした。

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この本について

この文章は、語り手が看護婦のNさんから聞いた話として始まる。語り手自身が腸の病気で寝込んでいる間、Nさんが粥を炊きながら語ったのは、牛込の野田家——姉弟が結核を患い、庭に木賊の茂る、どこか気の滅入る家での看護の話である。淡々とした語り口の中で、夜に氷を買いに出た帰り道、寝たきりの患者・清太郎とそっくりな人物に後ろから抱きつかれる場面に至って、不気味な趣が色濃くなる。

作者について

芥川龍之介(1892年3月1日-1927年7月24日)は、澄江堂主人の号でも知られる大正期の日本の作家で、「日本短編小説の父」とされている。35歳でバルビタールの過量服用により自殺し、日本の主要な文学賞である芥川賞は彼の名前にちなんでいる。

注釈の作り方

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