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影を踏まれた女

著 岡本綺堂

十三夜に影を踏まれた娘が、月の光を恐れるようになる。

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原文の言語:日本語レベル:中級3,467 字 · ≈ 14 分出典:青空文库

冒頭

一

Y君は語る。

先刻も十三夜のお話が出たが、わたしも十三夜に縁のある不思議な話を知っている。それは影を踏まれたということである。

影を踏むという子供遊びは今は流行らない。今どきの子供はそんな詰まらない遊びをしないのである。月のよい夜ならばいつでも好さそうなものであるが、これは秋の夜にかぎられているようであった。秋の月があざやかに冴え渡って、地に敷く夜露が白く光っている宵々に、町の子供たちは往来に出て、こんな唄を歌いはやしながら、地にうつるかれらの影を踏むのである。

――影や道陸神、十三夜のぼた餅――…

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この本について

この文章は語り手が「十三夜」にまつわる不思議な話として語るもので、影踏みという子供の遊びをめぐり、糸屋の娘おせきが月夜に悪童たちに影を踏まれる出来事を扱う。前半は遊びの風俗や唄をゆるやかに述べ、のちに事件へ移るにつれて、町の宵の気配を帯びた静かな不気味さへと調子が変わっていく。

作者について

岡本綺堂(1872年10月15日—1939年3月1日)は日本の作家・劇作家で、本名は岡本敬二、東京港区の芝高輪に生まれた。代表作は新歌舞伎劇『番町皿屋敷』である。

注釈の作り方

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